精進料理会レポート「料理僧三人衆食事会 ~食べる仏教 味わう命~」
御品書
前菜三種
精進出汁寄せ(吉村)
十種の春野菜のテリーヌ 蕪の葉のソース(青江)
「香の蔵」豆腐の味噌漬けと栃乙女の冷製カッペリーニ(飯沼)
椀、昆布とパセリの吸い物(飯沼)
煮、大根と観世麩の煮物包み(吉村)
揚、蕗味噌コロッケ キャベツとチコリの昆布オイル和えと共に(飯沼)
蒸、蕪蒸し(青江)
飯、アスパラの御飯(吉村)
汁、味噌汁(吉村)
香の物二種
長芋醤油漬け(青江)
大根の皮塩レモン漬け(吉村)
菓、芋羊羹 生姜蜜(青江)
食前観
われ今幸いに、仏祖の加護と衆生の恩恵によってこの清き食を受く、つつしんで食の来由をたづねて味の濃淡を問わず、その功徳を念じて品の多少をえらばじ「いただきます」
前菜三種
右:精進出汁寄せ/つるんとした葛の食感とやさしい味わいが広がる出汁寄せ。黄色の花がかわいらしい紅菜苔が春の香りを添える。中央:十種の春野菜のテリーヌ 蕪の葉のソース/野菜それぞれに異なる味付けが施されており、素材ひとつひとつへの感謝の思いが詰まった一品。
左:「香の蔵」豆腐の味噌漬けと栃乙女の冷製カッペリーニ/「雪がとけて、草が芽生え、花が咲く」という由来のある雛祭りの菱餅にちなんで、白・緑・赤の三色で仕上げた冷製パスタ。
昆布とパセリの吸い物
強い香りで邪気を祓う節句料理にならい、パセリを主役にしたハーブが香るお吸い物。大根と観世麩の煮物包み
炊いた大根、江戸観世麩の揚げ煮、紅菜苔をライスペーパーで包んだ一品。大根の煮汁を活用した葛あんをかけて。蕗味噌コロッケ キャベツとチコリの昆布オイル和えと共
新じゃがを皮ごとマッシュし、蕗味噌を混ぜた春ならではの香りが広がるコロッケ。衣にはパン粉ではなく片栗粉を代用。蕪蒸し
空豆と生麩ときくらげを炊いたもの、蕪と長いものすりおろしの二層仕立て。蕪のすりおろし汁と昆布出汁で作ったあんを混ぜながらいただく。アスパラの御飯、味噌汁、香の物二種
空曹洞宗の食事作法に則って、御飯(香飯)、味噌汁(香汁)、香の物(香菜)をいただく。芋羊羹 生姜蜜
表面を焼いて香ばしさを加えた芋羊羹に、ピリッと辛みを効かせた生姜シロップをかけて。
食後観
われ今この清き食を終りて心ゆたかに力身に満つ、願わくばこの心身を捧げて己が業にいそしみ、誓って四恩に報い奉らん「ごちそうさまでした」
【料理僧三人衆】
2013年に結成。同年11月「ダライラマ法王と若手宗教者100人の対話」(芝増上寺)で食事を担当。左から、青江覚峰さん(あおえ・かくほう/浄土真宗東本願寺派緑泉寺住職、「暗闇ごはん」主宰)、飯沼康祐さん(いいぬま・こうゆう/天台宗福昌寺副住職、「坐りびと・旬粥」主宰)、吉村昇洋さん(よしむら・しょうよう/曹洞宗普門寺副住職、「広島精進料理塾」主宰)。