『母の日参り』手紙コンクール受賞作品決まる
薫香製造・販売大手の日本香堂(代表取締役社長土屋義幸)が中心となって普及を進めている『母の日参り』。
ゴールデンウイークから5月第二日曜日まで、母の日に合わせて亡き母を想い墓参する供養の新習慣だ。
そんな『母の日参り』普及に向けた共同PR企画として先に公募をしていた、亡き母への想いを綴った書簡作品「手紙コンクール」の受賞作品プレス発表会が4月23日に行われた。
受賞作品は選考委員長を務めた歌舞伎俳優・中村獅童(45)の朗読によって発表された。
中村は13年12月に母を亡くしており、受賞作と自らの想いを重ね合わせて朗読の後、「泣かずに読むことができてホッとした。自宅で読んだ時には妻も私も涙、涙だった。」と語って笑った。
受賞作品は下段に記しておく。
まるで短編ドラマのような作品に心温まることだろう。
尚、受賞全作品は、5月上旬頃「母の日参り」公式サイト上にて掲載・発表を予定しているとの事だ。
受賞作品をご覧いただき、薫風の中「母の日参り」してみてはいかがだろうか。
「母の日参り」公式サイト https://hahanohi-mairi.jp/
第1回 『母の日参り』 手紙コンクール 〈金賞〉 受賞作品
【作者】 余白さん(静岡県在住、89才の 男性)
【作品の題名】 白い目薬
母さん、冥界(そこ)からオレが見えますか。
オレ、来年は遂に九十の大台。母さんの享年を遥かにこえます。
丈夫に育ててくれてありがとう。
母さんとの想い出はキリがないけど中でもとっておきはこのエピソード。
小四の頃、歳の瀬の路地裏でメンコ遊びに興じていると
一陣の突風に襲われて目にゴミが。
「痛ッ!」 慌てて家の中へ駆けこむと
母さんが「やッ大変」と赤子の弟を脇へ置き、左の二の腕でオレを支え、
右手で乳房を掴むと オレの目めがけて勢いよく絞りだす
集中放乳?作戦。
その一条の白い目薬はすっかりゴミを洗い流してくれたっけ。
八十年後の今も母さんの肌の温もりと共に鮮やかに覚えています。
母さん、オレが母さんの許へいける日は遠くない。
五十年ぶりに会える母さんはどんな迎え方をしてくれるだろう。
母さんはお茶目だからこんなこと言いそう。
「アレ、えらいお年寄り。もしかしてわたしの父ちゃん?」
そしたらこう返してやろう。「三男静雄只今母上の御許へ参上」。