東京女子医科大学准教授・医学博士特定非営利活動法人統合医療塾 理事長川嶋 朗さん

川嶋 朗さん

1958年東京生まれ。医博士。北海道大学医学部卒業後、東京女子医科大学大学院医学研究科、ハーバード大学医学部マサチューセッツ総合病院などを経て現在は東京女子医科大学准教授、ならびに同大学附属青山自然医療研究所クリニック所長。著書に『心もからだも「冷え」が万病のHもと』(集英社新書)、『医師が教える幸福な死に方』(角川SSC新書)など多数。

私の「エンディングノート」

Q.人生の最後に食べたいもの(最後の晩餐)
妻の手料理
Q.人生最後に行きたいところ
ボストン(マサチューセッツ総合病院)
Q.天国に持っていきたいもの
家族の写真
Q.天国で会いたい人
母、中村勘三郎さん、浦辺粂子さん
Q.生まれ変わったらなりたい職業
権力者


何のための長生きなのか。自分の死をイメージし、寿命の目標を立てることで「幸福な死」を実現する。

「終活」とは人生の最期を迎える準備活動。 人生の終焉を迎えるにあたって、どのようにとらえ、何を考え、準備をしていったらいいのか。 医療や介護現場の第一線で活躍されている医師、ケアリストから遺品整理のパイオニアにその指針となる考え方を伺いました。

計り知れない家族の負担誰も幸せにならない延命治療

世界一の長寿国、ニッポン。だが、ただ長生きするだけで人は幸せになれるのだろうか。
『医師が教える幸福な死に方』の著者である東京女子医科大学准教授の川嶋朗先生は、多くの高齢者が病院のベッドでチューブにつながれ、寝たきりのまま「生かされている」現状に警鐘を鳴らす。
「私は30年間、腎臓内科の専門医として人工透析に携わってきました。 人工透析は、社会復帰を願う腎不全の患者さんにとっては福音ともいえる治療法です。
しかし、80歳を超えて寿命を全うしようとしている寝たきりの患者さんにまで透析を行って、無理やり延命させることが、本当に尊い扱いなのでしょうか。」かつてない超高齢化社会を迎え、「老々介護」も深刻な問題だ。 川嶋先生は言う。
「クリニックを受診した50代の女性は、父親の介護のために会社を辞め、父親が亡くなった後は母親の介護に人生を捧げ、『身も心も疲れはてました』と言っていました。
本人も家族も、誰も幸福にならない医療のあり方には疑問を感じざるを得ません。」

幸福な死と幸福な生は表裏一体1年に一度は、自分の死を考えよう

それでは、今、この日本で「幸福な死に方」をするにはどうすればいいのか。
川嶋先生が提案するのは、QOD(クオリティ・オブ・デス)――つまり、元気なうちから自分の寿命の目標を定め、「何歳まで生きたいか」「死ぬまでに何が実現できていれば満足できるか」計画を立てておくことだと言う。
「昨今、アンチエイジングや長寿が話題になっていますが、そこには『何のための長生きなのか』という視点が欠けています。人間は永遠に生きられるわけではありません。死をタブー視せず、期限を区切って目標を定めることで、自分にとって本当に大切なものが見えてくる。少なくとも年に一度、何歳まで生きて何をしたいのか、死までのスケジュールを立ててみることをお勧めします。その際、延命治療や死後のことについても、自分の希望を家族にしっかり伝えておきましょう。
予定寿命を決める際、前提となるのは「健康寿命」。これは、日常生活で介護を必要とせず、自立して生活できる生存期間を指す。目標の年齢が決まったら、それまでは元気でいなければならない。当然、健康にも気を配る。死を意識することで、結果的にQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を高めることができるのだ。

人生の決定を医者に丸投げせず「自分が主人公」という自覚を

「死」を意識すると、病院とのつきあい方も変わってくる。
「病気になっても医者任せにせず、自分の体は自分で管理するという意識を持つことが大切」と川嶋先生は語る。医者は、症状を抑える治療をすることはできても、病気そのものをなくしてしまうことはむずかしい。
人生の決定を医者だけに丸投げせず、自らが選択していく心がまえが大事です。自分はどう生きたいのか、この治療法は自分の望む生き方に合っているのか――、自覚的に病気と向き合えば、その人の価値観を理解し、希望に合った処置をしてくれる医者がきっと見つかる。川嶋先生は、最後にこう結んだ。
「幸福な死に方とは何か。私はそれを患者さんから教えられました。
何がなんでも死なせないことが医療ではない。患者さんには、自分の受けたい治療を自分で選ぶ権利があります。
終末期であればなおさら、自分がやりたいことを残された時間の中で実現してほしい。家族のために、自分が伝えたいビデオメッセージを作るのもいいでしょう。不謹慎だと思われるかもしれませんが、死の淵にあって、人の心を癒してくれるのがユーモアの力なのです。」


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